「AIの導入に補助金は使えますか」。ご相談の際によくいただく質問です。補助金を活用すれば、費用を抑えられそうに思えます。ただし、すべてが補助の対象になるわけではありません。業務に合わせて作るオーダーメイドの開発は、多くの補助金で対象外となっています。
この記事では、2026年度に中小企業がAI・ITの導入に活用できる主な補助金を取り上げ、使える部分と使えない部分を整理します。埼玉県・川越周辺の相談窓口もあわせて紹介します。
この記事は、2026年10月15日に各制度の公式サイトで確認した情報をもとにしています。補助金の内容は、年度や公募の回によって変わります。申請する際は、必ず公式サイトの公募要領で最新の内容を確認してください。
2026年度、AI・IT導入に使える主な補助金
| 制度 | 補助率・上限 | 締切 | オーダーメイド開発は |
|---|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠) 国(旧IT導入補助金) |
1/2以内(条件により2/3以内) 5万円〜450万円 |
6次:2026年10月30日17:00 7次:2026年12月1日17:00 |
対象外。対象となるのは事務局に登録されたITツールのみ |
| 中小企業DX導入支援補助金 埼玉県 |
3/4以内 7万5千円〜300万円 |
追加募集:2026年10月30日16:00 | 対象外。「フルスクラッチでのシステム開発」は対象外経費に該当 |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) 国 |
1/2(条件により2/3) 従業員21〜50人で上限3,000万円など |
第8回:2026年10月16日17:00 第9回は未定 |
対象になる可能性あり。業務に応じて専用に設計した設備・システムが対象で、事業計画の審査あり |
国の「デジタル化・AI導入補助金」は登録ツールが対象
旧IT導入補助金は、2026年度から名称が「デジタル化・AI導入補助金」に変わりました。補助の対象となるのは、IT導入支援事業者が提供する、事務局に登録済みのITツールです。ソフトウェアやクラウドの利用料、導入の支援などが含まれます。
ITツール登録要領では、以下のようなものは登録の対象外とされています。
- 製品がまだ完成しておらず、スクラッチ開発を伴うソフトウェア
- 特定の顧客向けに限定され、一般の市場では販売されていないもの
- 業務プロセスに影響するような大幅なカスタマイズを要するもの
このため、御社の業務に合わせて一から作る仕組みには、この補助金を使えません。さらに、交付決定を受ける前に契約・発注したものも補助の対象外となります。補助金を利用する場合は、申請後、交付決定を待って契約する必要があります。7次の締切分からは、従業員1人当たりの給与支給総額を増やす要件が、過去に交付決定を受けた事業者や、通常枠で150万円以上を申請する事業者などにも広がります。
埼玉県の「中小企業DX導入支援補助金」の注意点
埼玉県内に本店などを置く中小企業を対象とした補助金です。補助率は3/4と高めに設定されています。対象となるのは、DXツールの購入費や利用料、ツールに必要なデジタル機器、設置や設定にかかる費用です。導入事例として、画像認識のAIなども紹介されています。
- 設置や設定にかかる費用は、補助対象経費の総額の1/2までです
- 「フルスクラッチでのシステム開発」は対象に含まれません
- 申請・交付決定より前に契約・発注・支払いをした経費は対象になりません
既製のツールを導入し、設定して使う場合には活用しやすい制度です。ただし、どの範囲を「設定」とし、どこからを「開発」と判断するかは、案件ごとに県の事務局へ確認する必要があります。

補助金を使うか、小さく自費で始めるか
| 補助金を検討したい場合 | 補助金を使わないほうがよい場合 |
|---|---|
| 登録済みの既製ツールで、業務の大半に対応できる | 業務に合わせた仕組みが必要で、既製ツールが合わない |
| 投資額が大きく、交付決定まで数か月待つ余裕がある | 投資額が小さく、すぐに着手して効果を確認したい |
| 事業計画や実績報告に手間をかけられる | 申請にかかる手間や、不採択の可能性を避けたい |
当社では、業務に合わせたオーダーメイドの仕組みを作っています。そのため、国と埼玉県の補助金をそのまま利用できないケースが多いのが実情です。一方、一部の業務については、最小構成の55,000円(税込)から小さく始められます。まず1つの業務で効果を測り、その後に広げていく進め方であれば、補助金がなくても大きな投資にはなりません。既製ツールの導入には補助金を使い、足りない部分だけを別に作るという組み合わせも考えられます(同じ経費に二重に補助を受けることはできません)。
埼玉県・川越周辺の無料の相談窓口
- 埼玉県DX推進支援ネットワーク:課題の整理、ツール選び、補助金の案内について無料で相談できます(事務局:埼玉県産業振興公社)
- 埼玉県よろず支援拠点:国が設置している、中小企業向けの無料の経営相談窓口です
- 川越商工会議所の専門家相談:「IT全般」の分野について、無料で相談できます
- 埼玉県産業振興公社の専門家派遣:専門家が会社を訪問し、助言を行います(企業の負担があります。回数と負担額は公社へ確認してください)
川越市・ふじみ野市・坂戸市・鶴ヶ島市・所沢市については、市独自のDX・IT導入の補助金を公式サイトでは見つけられませんでした(2026年10月15日時点)。狭山市では、DXなどの専門家に支払う謝金や委託料を補助する「中小企業等専門家活用補助金」が設けられています(件数に限りがあるため、受付状況は市へ確認してください)。
まとめ:補助金は「対象かどうか」を先に確かめる
- 国のデジタル化・AI導入補助金で対象となるのは、登録されたITツール。スクラッチ開発は対象外
- 埼玉県のDX導入支援補助金でも、フルスクラッチの開発は対象外。設定費は総額の1/2まで
- どの補助金でも、交付決定より前に契約・発注したものは対象外
- 業務に合わせた仕組みには、小さく始めて効果を測る進め方もある
国の補助金の申請枠や申請の流れ、締切については、「デジタル化・AI導入補助金2026とは」で詳しく解説しています。
費用の考え方についてはAI業務自動化の費用はいくら?を、料金の目安については料金のページをご覧ください。補助金を利用するか、どの業務から着手するかは、無料相談(30分)で一緒に整理します。
参考(2026年10月15日確認):デジタル化・AI導入補助金2026/埼玉県 中小企業DX導入支援補助金/中小企業省力化投資補助金(一般型)/埼玉県DX推進支援ネットワーク/川越商工会議所 専門家相談/狭山市 中小企業等専門家活用補助金
